2014年度~2016年度 教化テーマ・所信・3ヶ年方針
2014年度~2016年度 教化テーマ
『Religion「宗教」再び見直す・見つめ直す』-南無阿弥陀仏のいのちのもとで-
教化委員長所信
もともとは仏教の地盤で成立した「宗教」ということばが、仏教、キリスト教、イスラム教などを総じて使われるようになったのは、西洋から入ってきたReligionの訳語として用いられるようになった明治以降のことであります。
このReligionは語源解釈上からは二つの意味があり、そのうちの一つが「再び見直す」ということであり、これは「人生を注意をもって再び見直す」、日常生活をもう一度注意をもって見直し、再吟味・再検討するところに宗教が意識され、それが問題とされていくところに人間の宗教的形成が為されるということであり、決して各宗教を総称するものではないのと同時に、仏教が目指すところと一致する解釈であることから、Religionの「再び見直す」という意味において、仏教は「宗教」であると言えるのです。
『大乗の仏道』東本願寺出版部
-序章 宗教としての仏教-
3年前の2011年、宗門は宗祖の七五〇回御遠忌を勤めましたが、その際に、50年前の七〇〇回忌の時より念仏の声が聞こえなくなり、教勢はあきらかに衰退したと言われました。このことは御遠忌にかぎらず、一般寺院においての日々の法務、法座開設、報恩講・法要厳修においても下降線を辿っていることは、3年が経った今も実感できることではないかと思います。
これまでの50年は緩やかにその衰退を辿ってきましたが、これからの50年は今の情報社会、また価値観が多様化するなかで、5年~10年期間の、ものすごい早さで更なる下降を辿ることが予想されます。
このような宗門、寺院をとりまく厳しい環境にあって、今期教化委員会は、この5年~10年先を見据え、また約50年後の八〇〇回御遠忌に向けての歩みを進める上で、一度きちんと立ち止まり、これまでの活動を見直す、見つめ直すことが必要ではないかと考え、冒頭のReligionの語源を根拠として、『Religion「宗教」再び見直す・見つめ直す』を3ヶ年の教化テーマといたしました。
具体的には、教化委員会の組織体制、研修事業の見直しということが挙げられますが、その作業を進めるなか、また教化活動に携わるなかにあって、もっと大切なことは僧侶として、門徒として、人間としての自分自身を再び見直す・見つめ直すことであり、このことはこれまでの教化テーマである、『つながりを生きる世界に出遇う』、『出遇い-確かめ合える場を求めて-』、『宗祖に出会う 私に出会う』にも通ずるものとしても考えさせていただきました。
そしてまた、再び見直す・見つめ直すといったときに何をもってそれを為すのか。
私どもは自分にとって都合のいいもの、気持ちのいいものは受け入れますが、そうでないものは排除を徹底します。自分で自分自身をほんとうの意味で見直すことはできません。
幸いにも私たちには、法然上人、親鸞聖人が生きられた、念仏の教えが伝えられてきております。どこまでも念仏のいのち、はたらきに遇ってしかそれは果たすことができないことから、-南無阿弥陀仏のいのちのもとに-をサブテーマとして掲げさせていただいことであります。
今期3年間、南無阿弥陀仏のなかにあるということを確かめながら、組織を事業を、そして私自身を「再び見直す・見つめ直す」教化活動を進めてまいりたく存じます。
尚、現4組執行部の意向により、昨年度、第4組から北海道教区に提出しました提言の中から、組内に在住する他組寺院所属のご門徒さんへの教化事業への参加奨励を今年度より始めてまいりたく、組執行部との緊密な連携を保ちながら取り組んでまいります。