札幌第2地域「企画型研修」
札幌第二地域
「宗祖親鸞聖人ご誕生850年・立教開宗800年」企画型研修
2022年5月22日(日)14:00~
札幌市北区 大法寺
「共に生きるを考える~現代に生きるアイヌ~」
講師・・・結城幸司 氏(版画家・アイヌアートプロジェクト代表)
参加人数・・・23人(10ヶ寺)
この度、5月22日に札幌第二地域の慶讃法要の企画型研修が行われました。講師として結城幸司氏(版画家・アイヌアートプロジェクト代表)をお招きして、「現代を生きるアイヌ」を講題にお話ししていただきました。
初めに「アイヌ」は「人」という意味で、「尊称」の言葉でもあると教えていただきました。そしてアイヌの生活は、「カムイ」(神)との共存によって成り立っていたと説明してくださいました。アイヌの祖先たちは、狩りをして生活していく中で、カムイに感謝し、日常的に祈りを捧げて暮らしていましたが、現代においては祈りを捧げて暮らすということがなくなり、それが現代のアイヌとしての問題ではないかとおっしゃいました。その後、道南に和人が入ってきてから現代に至るまでの歴史、特に大きな争いであった「コシャマインの戦い」、「シャクシャインの戦い」「クナシリメナシの戦い」を中心に紹介し、アイヌも和人もお互いに殺しあってきたことをお話しくださいました。そして、最終的に和人がアイヌを制圧したのですが、そのことは、文明の差、人数の差ということもあったけれども、アイヌが大事にしていた「チャランケ」という決め事を利用したからだとおっしゃいました。「チャランケ」とは敵同士の長が話し合いで解決するというやり方で、道内のいろんな地域のアイヌがそれぞれの文化を持っていて争いも起きましたが、この「チャランケ」によって、暴力ではなく話し合いで勝敗を決めてきたそうです。そして、和人とアイヌの最後の大きな戦いである「クナシリメナシの戦い」では、この「チャランケ」を逆手に取って、和人がアイヌをだまし討ちにしたと伝えられています。結城さんはこの話をした後に、現代も戦争が起きているが、「チャランケ」のように非暴力で話し合いながら受け入れていく未来がそこにあるならば、それが希望の道となるのではとおっしゃっていました。現代に至るまで、「私たちは単一民族である」「北海道には先住民族などいない」とした時代もあり、アイヌは迫害や、差別を受けてきました。だけれども、和人が悪いとか、アイヌが悪いとかいうことではなく、人間とは善と悪、どちらも持っていて、それのどっちを掴むのかでどちらにも転がると話されていました。そして、すれ違って憎んで別れるのではなく、お互いに話し合って理解していきたいとおっしゃっていました。
講義後は、質問の時間を取りました。たくさんの質問が出ましたが、結城さんは真摯に答えて下さいました。その中で「人と壁を作らずに出会い直すことの喜び、通じ合える世界を求めていきたい」と話されました。講義の中で仏教語は使われていませんでしたが、お浄土のお話をしていらっしゃったと感じました。